ささやかな話

好きなもののことばかり書こうと思います

はじめに

6月の末に、5日続けて仕事を休んでしまった。

最初はいつもの頭痛だった。

薬を飲んで安静にして、1日か2日もすれば治まるだろうと思っていた。

しかし、生活のリズムが乱れたせいか、頭痛はますますひどくなった。

そのうちにめまいがきて、胃痛がきた。

これはまずい。

 

横になって耐えていたら、一緒に暮らしている猫がそばに寄ってきた。

心配してくれているのかなとうれしくなって、がんばって少し体を起こしたら、トイレの後で猫砂を掘るように、私のおなかの下をざっざっと掘って去っていった。

猫はかわいい。

 

猫はかわいいが、体が不調なせいで、気もちも鬱々としてくる。

そもそも、体調が悪くなくても、普段からネガティブなことを考えがちな人間だ。

他人から言われてもやっとしたことば。いまだに納得できない過去の仕事。

大事なことはすぐ忘れるくせに、どす黒い思い出はここぞとばかりに溢れてくる。

そんな自分に嫌気もさしてくる。

 

比較的調子がよくなったタイミングで本を拾い読みしていたら、こんなことが書かれていた。

私たちの脳は、ポジティブとネガティブとを比べると、ネガティブなことのほうが記憶に残りやすい性質を持っています。

引用元:井上智介『この会社ムリと思いながら辞められないあなたへ』

なるほど。

だとしたら、ネガティブなことばかり考えてしまうのは自分だけのせいではない。

 

息苦しくなったとき、最初に試してほしいこと、それは「好きなこと、好きなもの」を思いつくまま、50個リストアップすることです。

引用元:井上智介『この会社ムリと思いながら辞められないあなたへ』

試しにリストアップしてみる。

猫。コーヒー。サッカー。間取り図。コンピューターおばあちゃん。…

そのうち、好きなものに引っ張られるように、ささやかだけどあたたかい思い出が流れてきて、自分でも驚いた。

通りすがりの人に親切にしてもらったこと。お世話になった先生にかけてもらったことば。

長い間忘れていたようなことも。

 

その後は低空飛行ながら、いまのところ大崩れはしていない。

再びしんどくなったときの備えとして、好きなことや好きなものを少しずつ書き残しておけたらいいなと思っている。