ささやかな話

好きなもののことばかり書こうと思います

WIREの夏、日本の夏

今週のお題「まつり」

 

夏が来れば思い出す。

ダンスフロアーに華やかな光。

 

屋外の音楽フェスにはほとんど行ったことがないけれど、石野卓球氏が主催していたテクノイベント「WIRE」には毎年のように参加していた。

 

最初は2002年のさいたまスーパーアリーナ

高校時代の友人と行って、現地で高校時代の別の友人に会って同窓会のようになり、朝まできゃっきゃしていた。

高校生だった頃はテクノの話なんてひとこともしていなかったのに。

 

最後は2010年の横浜アリーナ

父親の病気で実家に戻っていた時期で、迷ったあげく当日にチケットを買ってひとりで行って、心残りを抱えながら終電で帰った。

 

誰かと行ってもひとりで行っても、現地で友人知人(数は少ない)に会えたし、一晩中好きな音楽がかかっている中で、何も考えずにゆらゆらと揺れながら汗をかけた。

8月の終わりの開催が多かったこともあって、夏の締めくくりのようなイベントだった。

 

毎年、事前にコンピレーションアルバムを聴いて予習しておく。

当日は床に転がってもいいような服装で行く(深い時間にどうしようもなく眠くなるので)。

アリーナに着いたらまずはマフラータオルを仕入れて、とりあえずのビール。

 

Joris Voornの美しいメロディ。

Ellen Allienの心地よいビート。

脳内に直接語りかけてくるようなHardfloorの反復フレーズ。

いつも期待を裏切らない卓球氏のプレイ。

 

おなかがすいたら休憩を兼ねて栄養補給。

真夜中のグリーンカレー。丑三つ時のソフトクリーム。明け方に〆のフォー。

どう考えても消費カロリーより摂取カロリーの方が高い。

 

疲れたらスタンド席で休んで、どうしようもないときは通路の隅に転がって眠る。

ペース配分を間違えて腰痛に耐えきれなくなって、目当てだったアーティストを泣く泣く諦めたこともある。

 

最後にスクリーンに映し出される「SEE YOU NEXT YEAR」の文字を見て自分の消耗度合いを確認し、来年もまだなんとかいけるなと思いつつアリーナを後にする。

 

もうあの頃のような気力も体力もないけれど、好きな音楽だけは細々と聴き続けている。

 

まだガラケーだったあの頃の解像度